第5弾 BMWの徹底した空気力技術の追求

ーキドニーグリルってどんどん大きくなっていませんか。こんなに大きいと空力とかに問題あるじゃないかと心配になります。

大きすぎて虫が入るんじゃないか？なんて気にするお客様もいましたが、グリルはラジエーターに冷えた走行風を取り込みエンジンを効果的に冷却するものですから、開口部が大きいのは決して悪いことではありません。ただ、これだけ大きいとその分、空気抵抗も大きくなると思うのも仕方がないでしょう。でも最新のBMWのキドニーグリルには「アクティブ・エア・ストリーム」機能が取り入れられているので空力への心配は無用なんです。

ーそのアクティブ・エア・ストリームとはどのようなものなのでしょう。空気抵抗に影響がないというのはなぜなのですか？

よく見てもらうとわかるのですがアクティブ・エア・ストリームが搭載されたキドニーグリルにはシャッター（エア・フラップ）があるんです。このシャッターはエンジンの冷却のために空気を取り入れる必要がない時は閉じています。しかし、エンジンなどの冷却が必要になると開いて、空気を取り入れラジエーターに走行風を当てています。グリルに流れ込む空気の量を抑制することで空気抵抗も減らしているんです。ですから空気抵抗に関しても気にする必要はありません。

ー空力性能の向上のためにそんなところまで徹底しているのですか。ほかにも空力向上のための特徴的なポイントなどはあるんですか？

ボディを真上から見てください。まるで水滴のような形をしています。これも空気抵抗を極力小さくするためのもので前後を絞っているんです。空気がスムーズに後方に流れるからリアウインドウなども汚れにくいんですね。また、フロントフェンダー後ろにあるエアアウトレット（空気の排出口）の「エアブリーザー」も空力的な特徴でしょう。走行中にホイールハウスに流れ込んできた空気の流れを整えて、ここから放出して空気をサイドパネルへとスムーズに導きます。空気の流れをコントロールしてホイール周辺の乱気流を抑え空気抵抗を減らしているのです。

ーエアブリーザーはデザイン的なアクセントだと思っていました。ちゃんと機能的な意味があるんですね。でもここが空気の出口なら入り口もあるんですか？

フロントバンパーの左右に小さな空気の取り入れ口があります。ここから取り込まれた空気はいったん絞り込まれて、加速してホイールアーチに沿いエアブリーザーへとスムーズに導かれているのです。また一部はホイールの側面を覆うように高速で放出され空気のカーテンとなって乱気流を抑え空気抵抗を減少させています。一見デザイン的な処理に見えるディテールもこのようにちゃんと機能的な意味があるんですよ。